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人種とは?:Made Visible

ロンドンは温かくなったり寒くなったり。

私もすっかり風邪をひいてしまいました。

喉をやられたので、コーヒーを止めてひたすらはちみつレモンを飲んでいます。

 

そんな微妙な体調の中、Made Visibleというちょっと変わった劇を観に行きました。

 

この劇を紹介してくださったのは、以前London Bubble Theatreでお世話になった照明デザイナーの方。

ロンドンの劇場の第一線で活躍されている方なのですが、とても親切にしていただきました。

彼が照明を担当するということで、これは観に行くしかないと。

 

会場はロンドン五輪のスタジアムの近くにある、The Yard Theatre。

駅からすぐでしたが、道沿いの壁は落書きだらけであまり治安の良さそうな地域とは思えない…。

中に入ると山小屋のような隠れ家のような、温かい雰囲気のカフェバーがありました。

Time Out誌によると、ロンドンのベストシアター2位に選ばれたとか。(1位はNational Theatre)

 

開演直前、会場に入ると

俳優さんたちがステージでリラックスしながら台本を読んでいました。

セットは非常に簡素。

“Taken”と書かれたベンチ(誰か人が座っているということ)。

アクリル板にカラーペンで書かれた背景。

“Pond”と書かれた白くて丸いマット(公園の池を表している)。

 

上演時間になると、

「この劇は私が体験したように見えるけど、他の誰かが書いた作品を私が演じているだけ」

という前置きから始まりました。

物語に入り込みかけたところで、

「ちょっと台本のことで質問があるんだけど!」

と急に演技をやめて俳優同士で会話を始めたり、常に作品と一定の距離を置かざるを得ない状態でした。

 

一応ストーリーは、ある公園のベンチに座っていたインド出身の女性にカナダ出身の白人女性が話しかけ、

他愛もない話を展開するというもの。

そのシチュエーションについて、人種という観点で3人の女優さんが物語を出たり入ったりしながら議論します。

白人女性がインド人女性の横に座り、話しかけるというシチュエーションはあるのか?

このシーンを演じるのに、インドなまりの英語を話すべきか?

イギリス育ちのインド系女性が、白人を演じたらどうなるのか?

 

3人の女優さんのうち1人は若い白人のカナダ人(英語の発音もカナダ英語)、1人は40代くらいのインド系、もう1人はイギリス英語とインド英語を完璧に使いこなせる、恐らくイギリスで育ったと思われる若いインド系の女優さん。

劇中でも触れられていましたが、白人のイギリス人がこの舞台には出てきません。

なかなか面白いキャスティングでした。

 

ちなみにこの作品を書いたのは、Deborah Pearsonというカナダ・トロント出身の劇作家。

トロントは私も以前住んだことがありますが、街の半分は外国人と言われています。

いろんな人種が同居する環境にいたからこそ、書けた作品なのではないでしょうか。

 

彼女の他の作品も気になります。

 

 

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最後の授業

昨年9月に入学した大学院。

なんと、昨日で授業が終わりました。

あとは3本のエッセイ+修士論文のみとなります。

 

しかし早かった。

特に第2タームは、学校の授業に加えて学外での活動が急に増えたので

理論と実践をバランス良く学べたんじゃないかと思います。

今は週に2回ショーで踊ったり、衣装のお手入れを手伝ったり、5月末の作品に向けて振付と構成を考えたり。

観劇の回数は減りましたが、作る側になるのはやはり面白いです。

大学院に出すエッセイのネタにもなりますし。

 

さて、大学院ですが。

最後の授業を担当してくださったのは、私の修士論文のスーパーバイザー。

授業の最後に「今後もオフィスアワーはありますか?」と聞くと

 

「来週からしばらくニューヨークに戻るけど、もしニューヨークに来ることがあれば立ち寄ってくれてもいいわよ」

 

え、先生アメリカに戻るの?

もっと早く言ってほしかった(笑)

 

授業が終わってから慌てて先生のオフィスに立ち寄り、修士論文の方向性について相談。

Ballet Dramaturgyについて書きたいというと、

 

「5月にニューヨークでBallet Dramaturgyのカンファレンスがあるから、ぜひ行っておいで!

私はそのころサンフランシスコにいるから行けないけど、感想聞かせてちょうだいね!」

 

旅費いくらかかると思ってるんだ・・・

 

でも最近知り合う人は、なぜかNYに住んでいた人が多いです。

渡英してから定期的に飲みに行ったり、何でも話せる仲になるのはアメリカ人ばっかり…。

現在私が振付を担当しているパフォーマンスも、NYとものすごく関わりの深い作品です。

大好きなベン・ウィショーもしばらくブロードウェイの舞台に立ってるし、

行きたい気持ちと現実の狭間で揺らいでいます。

 

宝くじ当たらんかな(笑)

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幻想の世界:ジゼル

日本で一緒にバレエを習っていた友人がロンドンに遊びに来てくれたので、

一緒にロイヤルバレエのジゼルを観に行きました。

 

たしかくるみ割り人形が終わった1月ごろ、

地下鉄の駅に白いヴェールをかぶったジゼルのポスターが貼られていたのですが

とても美しい亡霊の写真に惹かれました。

 

その写真と同じ姿のジゼルはとても美しく、幻想的でした。

 

印象に残った場面をご紹介します。

まず第1幕。

ジゼルのジャンプの軽さにびっくり。

でも亡霊のようにフワフワしているのとは違い、

生き生きと弾むように跳んでいました。

 

おなじみのジゼルのバリエーションは、バチルダ姫やジゼルの母親に向けての踊りで

恋人・アルブレヒトは舞台上にいない演出でした。

バチルダ姫の前での丁寧なお辞儀と、

村人の前でのちょっと照れたようなお辞儀。

こんなに相手との関係性をきちんと表している踊りは初めて見ました。

 

そして恋人の裏切りを知ってしまったシーン。

一度下を向いて、もう一度顔を上げた時には

完全に別人の顔になっていました。

顔つきが「あ、この人危ない」という表情。

激しく感情をぶつけるのではなく、幻覚を見ているようなフワフワした状態が続きます。

 

第2幕。

圧巻は森にさまよい込んだヒラリオンをウィリたちが円になって囲むシーン。

恐ろしいです。

 

そして、ジゼルは自分を欺いていたアルブレヒトを許し、命を助けるのですが

現代人の感覚で言うと、

「そんな都合のいい話あるかい!」

となりますよね。

 

今回の作品で好きだったのは、アルブレヒトが来たときに

ジゼルが最初は淡々と接していたところ。

「大好きな彼を殺さないで!」

と情熱的になるのではなく、

そっと許すジゼルが聖母のよう。

裏切った男を殺すことにこだわるミルタの方が、不憫に思えました。

そんなに奴らにこだわらなくていいんじゃないかと。

 

本編は以上です。

最後に2つ小話を。

 

休憩時間中、大好きなバレリーナに遭遇しました。

長いことロイヤルバレエでプリンシパルを務めていた、日本人女性ダンサーです。(バレエ通ならピンときますね。笑)

とても美しく、突然話しかけたにも関わらず、丁寧に対応してくださいました。

 

もう1つ。

秋にEnglish National Balletもジゼルを上演します。

振付がAkram Khanという、コンテンポラリーダンスやインド舞踊のバックグラウンドを持つ振付家なので、大幅な改訂になるのではと思います。

こちらも楽しみです!

 

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Think Through Theatre

昨日はロンドンのCentral Saint Martinsという芸術大学に、プロジェクトの打ち合わせに行きました。

初めて行ったのですが、建物も人もお洒落!!

うちの大学と全然違う!!笑

 

よく日本の雑誌に載ってるような「ロンドンのストリートファッション特集」みたいな雰囲気でした。

ロンドン生活に慣れてくるとだんだん化粧もしなくなるし、ヒールもここ半年全く履いていませんが

(日本で大学生・社会人している時はすっぴん・ヒール無しで外出なんて考えられなかった!)

もう少しお洒落を楽しもうと思いました。

 

打ち合わせは5月末のショーに向けてのもの。

私はドラマトゥルク、そして振付も担当する予定です。

楽しみ!!

 

打ち合わせのあとは、6月からリハーサルが始まるOld Vicのコミュニティーシアターにて

Drop-in Sessionがありました。

一般の人たち向けの無料のワークショップで、テーマは演劇関連のものからそうでないものまで。

昨日は”イギリスはEUに残留すべきか否か”というテーマでした。

6月に控える国民投票を前に、シアターを通じて考えようというもの。

私はEU市民ではありませんが、面白そうなので行ってみました。

(行ってみるとカナダや南米など、EU圏外出身の人も結構いました)

 

一応シアターということで、演劇学校なんかで行われるようなちょっとしたゲームに始まり、

EUの歴史をチームに分かれてサイレント・ムービーとして演じるというものもありました。

また、用意されたいくつかのテーマについてディスカッションする段階では

人やモノの自由な移動や経済活動について、議論が白熱。

EU圏のどこでも教育が受けられるというのは、日本人にとっては羨ましいです。

だって、EU圏出身とそうでない人では、支払う学費が倍くらい違うので。

まぁ、それがあるから私はどの授業も休まず行ってるのですが…笑

 

あっという間の2時間。私に投票権はなくても、十分楽しめました。

帰りは最寄駅までイギリス人の女優さんと一緒に帰ったのですが、

ヨーロッパを自由に行き来ができるのは俳優活動をするうえで非常にありがたい、と言っていました。

さて、6月の国民投票の結果はどうなるのでしょうか。

 

 

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短い大学院生活

 

気づけばあと1回!

 

授業のことです。

 

1月中旬から始まった第2タームの授業も、それぞれあと1回ずつで終了。

 

めちゃくちゃ早かった…。

 

思えば第1タームはみんな勉強でヒイヒイ言ってましたが(これは今もですが笑)

第2タームは少し余裕が出てきて、学内外でのプロジェクトに取り組む人が多かったです。

 

 

私は先日その一つが終わったのですが、

 

油断したのか、多分風邪をひきました(笑)

 

金曜の授業中に咳が止まらなくなり、なんとなく身体が痛いと思ったら、

案の定、夜に熱が出てきました。

そこまで高熱ではなかったので、一日寝て翌日の夜には普通にショーで踊ってましたが

改めて体調管理の大切さを思い知りました。

 

最近は日が長くなって、だいぶ過ごしやすくはなったのですが

1日の気温差が激しい気がします。

 

そんな病み上がりの状態で、今日は授業で簡単なプレゼンをしました。

テーマはdance dramaturgyと、先日見たアンテレサの作品・Golden Hoursの話。

今まで授業のほとんどが哲学の話でしたが、やっとドラマトゥルクの仕事について具体的に論じる段階に来ました。

といってもあと1回しか授業はない(笑)

アリストテレスからドゥルーズまで、果たして演劇・ダンス制作とどう繋がるのかさっぱりわからなかったのが、

ものすごく細い糸でつながっているのが見えてきたような見えないような。

また本を読み返して、実践でやってみて、初めてわかるんだろうなと思います。

 

とはいえ、結局ディレクターや振付家との相性が大事!と先生はおっしゃっていました。

全ての人のドラマトゥルクになれるわけではない。

でもいいパートナーに巡り合えたら最高の作品ができる、と。

 

そんな相手と一緒に仕事をするのは、どんな感じなのでしょう。

考えただけでワクワクします。

 

 

 

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シアターがつくるご縁

約1ヶ月関わっていたLondon Bubble Theatreのショー、After Hiroshimaが終わりました。

リハーサルでは演出の過程を間近で見せていただき、

セットデザインや小道具、衣装についても話を聞くことができ、

本当に良い経験になりました。

 

出演者が来る前に会場入りし、本番に備えて衣装の手入れをする時間が好きでした。

アイロンと裁縫の技術は上がったと思います(笑)

それぞれの衣装がストーリーの一部になると思うとワクワクしました。

 

例えばヨレヨレの服と、きちんとアイロンのかかった服。

どちらも着ているキャラクターの生活スタイルを物語りますよね。

 

「ヨレヨレなのはコスチューム担当がアイロンをサボったからです」

なんてお客さんには言えません。

 

いくら感動的なシーンでも、

「あの人シャツのボタン取れそう!」

なんて気づいてしまったら、気になってセリフが入ってこないですよね。

 

そうならないように細心の注意を払っていたのですが、

複数回公演の舞台裏で毎日こんなメンテナンスが行われていたなんて

実際やってみて初めて気づきました。

 

また、全員の衣装を触っていたおかげで、

パフォーマーの人たちとも仲良くなれました。

ここからまたご縁が繋がっていくのがシアターの素晴らしい面白いところで

私が今参加している別のショーに招待したり、

お客さんとして来られた方の作品づくりに参加させてもらえることになったり、

何だかんだ次へと繋がっています。

 

お世話になったフリーランスのデザイナーさんに、どうやって仕事をゲットするのか聞いてみると

やはり口コミ・紹介がほとんどだそうです。

 

私はまだ学生の身分なので、ボランティアやインターンのステージにいますが

だからこそいろんな現場に気軽に顔を出せるのかなぁとも思います。

 

でも卒業したら、「学ばせてもらう立場」から「コラボレーション」にステップアップしたい。

そんな話を公演最終日に、ディレクターの方としていました。

 

その日が来るまでロンドンにいられるビザがほしいものです。

 

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未来は明るい:After Hiroshimaディスカッション

私が約1ヶ月関わらせていただいた劇、After Hiroshima。

公演は残すところあと1日です。

昨夜はショーのあと、ゲストによるディスカッションがありました。

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ショー自体はタイトル通り、広島への原爆投下後の出来事がテーマになっています。

しかし内容は「戦争はとっても悲惨でこんな悲劇があって…」という重苦しいものではなく、

更なる犠牲者を出さぬようにと行動した、イギリス人たちの姿が描かれています。

そして劇中にも出てきたイギリスの反核団体CNDの活動家2名が昨夜、パネリストとして来られました。

 

まず、パネリストたちの人選が面白い。

その2名の活動家に加え、作品を書いた劇作家、ミュージシャン、ショーに出演した俳優、そして演劇研究者。

芸術・研究寄りの人がいたのが嬉しかったです。

というのも、私自身はデモ行進とか平和運動に直接関わるというのは考えたことはなく、

あくまでも演劇・パフォーマンスを通じて何ができるかを

「作品を作る」「情報発信する」という立場で考え続けたいと思っているからです。

 

さて、劇中にも出てくるイギリスの反核団体・CND。

(ウィキペディアのリンクを貼っておきます。CND Wikipedia

劇中では、1958年に初めてロンドンから核兵器工場のあるオルダーマストンへの行進を行ったときのシーンが出てきます。

 

初めて台本を読んだとき、日本から遠く離れたイギリスで

広島・長崎での出来事に心を痛めて行動した人たちがいたことに心を動かされました。

そして、今でも活動していることに驚きました。

昨日のディスカッションでも言及されていましたが、

本来であればCNDの活動は過去に終えられるべきだったのに

いまだに活動しなければならない=核兵器が存在するということです。

今は学校での平和教育にも力を入れているようですが。

 

ディスカッションの最後にオーディエンスからの質問タイムがありました。

核や戦争のことで会場の空気が少し重くなっていた中、

ジャーナリストの女性の発言が印象に残っています。

 

「メディア批判や将来を悲観するのではなく、

もっとメディアをポジティブに捉えて、未来は明るいと考えてみてはどうですか」

 

会場から拍手が湧きました。

どんな運動も現状や将来に不安があるからこそ活動を始めるのだと思いますが、

メディアやネットを味方につける・未来は明るいと信じることは

単に「〇〇反対!」と叫ぶより大切なことではないでしょうか。

 

今回の作品には、小学生の子からお年寄りまで参加しています。

日本人、イギリス人、他にも欧米・アジア各国から来た人たちがいます。

こんなに様々な年代・国籍の人が一堂に集まって戦時中・戦後の出来事に向き合うのは、

ロンドンでの演劇の醍醐味だと思います。

 

残す公演は今日の昼・夜のあと2回。

楽しんできます!

 

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ダンスでシェイクスピア:Golden Hours(As You Like It)

大学院で同じコースの友人から、

 

「Dance Dramaturgyに興味があるなら絶対知っておくべき!」

 

と言われた振付家・Anne Teresa De Keersmaeker(アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル)の作品を観に行きました。

 

友人は以前ベルギーでの公演を観たそうですが、本作はUK初上陸だそうです。

 

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公演前に振付家De Keersmaekerと彼女のドラマトゥルクBojana Cvejic、パフォーマンス研究者のAdrian Heathfieldによるトークイベントがありました。

 

大学院でAdrian Heathfieldの文章は何度か読んでいたのと、授業で行われるプレゼンで私が担当する回のリーディングリストにBojana Cvejicのエッセイが含まれていたので、研究目的で参加しました。

 

振付家・ドラマトゥルク・研究者の3人が並ぶと、それぞれの役割がよくわかります。

研究者が振付家に質問をし、振付家による少し抽象的な表現や解釈が難しい部分を、ドラマトゥルクがわかりやすい言葉で補う。

作品を作る時は2人で質問を投げかけながら、形にしていくそうです。

 

また、教育もドラマトゥルクが行う大切な仕事の1つ。

ダンサーにはただ身体の動きを真似するのではなく、一つ一つの動きが持つ意味を理解してほしい。

そこから2人のコラボレーションが始まったそうです。

 

約1時間のトークイベントの後、隣のSadlers Wells劇場に移動。

演目はシェイクスピアの「お気に召すまま」を題材にした作品です。

 

友人から

 

「衝撃的だから覚悟して行ってね」

 

と言われていましたが、

 

たしかに斬新。

 

以下、ネタバレです。

 

 

まずセットがない。

音楽もほとんどない。

衣装はパーカーやシャツなどの普段着。

スクリーンに字幕として出てくる、原作からの抜粋は断片的。

 

その代わり、身体の動きでストーリーを伝えていました。

 

ダンサーは言葉を発することはありませんが、セリフを覚えていたのではないでしょうか。

ほとんどが完全に無音の中で進むので、そうでないと振付を覚えたり動きのタイミングを掴むのは難しいと思います。

 

音楽がないダンスを、大きな劇場の舞台で行うとどうなるか。

私は身体の動きを、いつも以上に集中して観ました。なんとか意味を掴もうとして。

一方で音楽による「一体感」がないので、人によっては退屈だったと思います。

 

例えばクラシックバレエだと、音楽は非常に重要な要素。

チャイコフスキーは何度聞いても飽きませんし、聞くだけでストーリー・情景が浮かんできます。

De Keersmaekerはトークイベントで、音楽をどう捉えるか?という質問に「時間を示すもの」と答えていました。

たしかに音楽によって踊りの長さが決められます。

その点「無音」だと、時間による制約から自由になれるのかもしれないと、作品を観ながらふと思いました。

 

作品自体も面白いですが、創作過程が知りたくなる作品でした。

彼女の本、買おうかな…

 

 

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シリア生まれの演劇:Goats

またまた大学院の先生の引率で、夜の遠足に行ってきました。

 

Royal Court Theatreにて夜9時開演。

 

開演前に劇場併設のバーで待ち合わせたのですが、先生いわくRoyal Courtのバーには有名人がよく来るとのこと!

昨日は残念ながらいませんでした。

 

今回観たGoatという作品は、シリアとレバノンの劇を集めた”Told from the Inside”というイベントの1つです。

台本を書いたのはLiwaa Yazjiさんというシリア出身の女性。劇作家・ドラマトゥルク・映画脚本家として、シリア内外で活躍されています。

作品はまだwork in progress(未完成な状態)ということで、俳優さんは全員台本を持ってリーディングに近い形で演じられました。

 

ストーリーの舞台は、内戦が続くシリアのとある町。戦いで死んでいった男たちの代わりにヤギが支給されることになった、という話です。

なぜ死んだのか、死ぬ前にどんな会話がされたのか、残された女性たちはどんな心境なのか。それぞれの会話・心情に焦点が当てられます。

 

紛争の描写も全て言葉だけ。メディアではショッキングな映像が流れ、視覚だけに偏ってしまいがちですが、こんなにシリア内部の話に「耳を傾けた」のは初めてでした。

でも「ヤギの支給」という一風変わった設定があるせいか、全体的なトーンは想像よりも明るかったです。

 

特に印象に残ったシーンを2つ紹介します。

1つ目は3人の青年たちの会話。

空爆と兵士から逃れ、建物に隠れているシーンです。

冗談を言いながらも携帯で家族へ最期のメッセージを録画しようとしたり、「死にたくない」と漏らしたり。

フィクションであってほしいですが、実際に起きているんだろうなと思うと胸が痛くなります。

 

2つ目は息子を亡くした女性の場面。

男性と2人で会話をしているのですが、彼女は言葉を話せない設定で、一言も喋りません。

顔はすごく何か言いたそう。なのに何も言わない。見ていてもどかしい!

でも紛争のさなか、声を上げたくても上げられない人がほとんどだと思います。

女性の声を何かで代弁しようとせず、あえて奪ってしまうというところが妙にリアルだと感じました。

 

そんな彼女がついに声を発するシーンが。

彼女の息子の一人が、「敵を殺してきた!」と興奮気味に帰宅したときのこと。

今まで一言も発しなかったのに、「出ていけ」と言います。

困惑気味の息子に対し、

「私は人を殺せなんて頼んでない」と。

 

声を失くした「弱者」だった彼女が、一番強く頼もしく見えました。

 

初めて見た、シリア人劇作家によるシリアを題材にした演劇。なかなか面白い作品でした。

いつかシリアの人たちが安心して祖国で演劇を楽しめる日が来ればと、願わずにはいられません。

 

 

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オーディション体験記2

前回の続きです。

 

8月の公演に参加する、バックステージ・パフォーマー・コーラスの顔合わせがありました。

今回のオーディションで選ばれた人もいれば、数年前から参加している人もいるようです。

 

会場には、オーディション時にお世話になったイケメンステージマネージャー・Pさんが!

 

「コミュニティーシアターとはいえ、皆さんはこの劇場の名を背負うことになります。また、ロンドンは演劇の激戦区です。そこで戦っていけるクオリティーに仕上げましょう」

 

プレッシャーをかけられました。

 

その後、バックステージの各パートについての説明がありました。

プロデューサー、ディレクター、衣装、セットデザイン、照明、小道具など。

どのチームも劇場で働くプロがトップにつくので、私たちは「アシスタント〇〇」となります。

ちょうどアシスタント・ディレクターの説明の時に、ディレクターが部屋に来ました。

 

「アシスタント・ディレクターは、テクスト分析やリサーチが中心です。あとはリハーサルの手伝いもお願いします」

 

オーディション時に聞いた通り、私のイメージするドラマトゥルクの仕事に一番近そうです。

でもきっと人気のポジションなんだろうなぁー・・・

 

そしてついに、配属先の発表。

1人ずつ、名前とポジションが口頭で言い渡されます。

 

6~7名ほどが呼ばれたとき・・・

 

“Maiko?”

 

来た。

 

“You are… assistant director”

 

え?

 

“Because you are interested in research”

 

私 “Thank you”

 

・・・

 

やった!!!

 

本当にびっくりしました。

 

私でいいのかと。

 

その後、他のチームと一緒に台本を読み、必要な小道具をピックアップしました。

大学での研究とは違う視点で読むのは面白かったです。

ワークの途中、ステージマネージャー・Pさんがアドバイスしに来てくれました。

 

「ステージでは一つ一つの小道具がストーリーを伝える手がかりになるから、年代や材質・形なんかもしっかり考えてね」

 

これだから演劇は面白いなと思います。

小道具・衣装・照明・・・全てのものがストーリーを持つ。

 

妄想、いや想像するだけでワクワクしますが、ちゃんとリサーチして決めていきます。

 

5時間のブートキャンプはあっという間に終わりました。

リハーサルはもう少し先ですが、これから楽しみです。

 

実はこのカンパニーを持つ劇場、大好きなベン・ウィショーが無名の新人だった頃にハムレットを演じ、一夜にしてスターになったという場所。

いつか彼と仕事をする!というのがひそかな野望ですが、少しだけ近づいたかな?

近づいてるといいな。