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許すこと: ジゼル


修士論文の締め切りまであと2ヶ月。

古典バレエを現代風にアレンジしたものをテーマに書こうと決めて、

ケーススタディをアイルランドの振付家による「ジゼル」にしました。

もう10年以上前の作品で、写真と記事しか残っていなかったのですが、

振付家本人の連絡先をネットで探し当て、連絡してみたところ

親切にもDVDとスクリプトを送っていただきました!

 

ダンスだけではなくセリフも沢山あるので

スクリプトは本当に助かります。

 

アレンジされたジゼルについて研究するのに、

19世紀に誕生したロマンティック・バレエのジゼルについても調べました。

今年は誕生何周年という節目の年でもないのに、

実は多くのバレエ団がジゼルを上演しています。

なぜこれほど、ジゼル大豊作なのでしょうか。

 

まずは英国ロイヤルバレエ。

ロンドンでは既に終わっていますが、たしか今は日本公演をやっていますね。

そしてEnglish National Balletは、今年の秋と来年1月にジゼルをします。

今年の秋は9月~11月にかけて、コンテンポラリーの振付家・Akram Khanによるジゼル。

(音楽も振付もかなり違うんじゃないでしょうか)

来年1月は伝統的なジゼルをするそうです。

また、カナダのバレエ団でも先日ジゼルの公演がありました。

 

ネットや宣伝動画を見ると、ジゼルはどのバージョンも共通して

“Tragedy and Forgiveness”

という言葉で表現されています。

日本語にすると、tragedyは「悲劇」、forgivenessは「許すこと」となりますが、

バレエ団のHPなどを見ていると、特にforgivenessの方が強調されているように思います。

 

1幕の最後で恋人に裏切られて死んだジゼルが、2幕でどう彼を許すのかというところですが、

正直イマイチしっくり来ないなぁーと思っていました。

無条件に許すというのが。

1幕ではあんなに長い時間、狂気に陥って暴れてたのに!と。

 

ちなみに修士論文で扱うジゼルは、そこのところの葛藤が振付に表れていました。

2幕でジゼルとアルブレヒトが踊るシーンで、ジゼルが許すか許すまいか、

葛藤してアルブレヒトを拒絶する場面がさりげなく入っています。

で、許したジゼルの魂が救われて

最後は楽しそうに飛び跳ねる…という演出。

 

さて、本題に戻ります。何でジゼルがこんなに多いのか。

たまたまかもしれません。

が、私がもしバレエ団でプログラムの演目を選ぶとしたら、やはりジゼルにしたと思います。

 

だって、この世の中ですよ。

 

イギリス、えらいことになってます。

 

普段穏やかな人たちも、国民投票の結果が出てから

毎日怒りの声を上げ続けていたりします。

 

気持ちはわかる。

「自分の一票が影響すると思わずに、離脱に入れたのを後悔している」と言ってる人たちを

思わず怒りたくなるのはわかる。

 

でも、溝を深めるより許しあう方に行けばいいのにと思います。

完璧な人はいない。完璧な組織はない。完璧な政府はない。

 

ジゼルは死後にアルブレヒトを許しましたが

現実の世界では、死んでからでは遅い。

今こそ、ジゼルから学ぶときなんじゃないか。

 

修士論文を書きながら、そう思います。

 

 


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