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シリア生まれの演劇:Goats


またまた大学院の先生の引率で、夜の遠足に行ってきました。

 

Royal Court Theatreにて夜9時開演。

 

開演前に劇場併設のバーで待ち合わせたのですが、先生いわくRoyal Courtのバーには有名人がよく来るとのこと!

昨日は残念ながらいませんでした。

 

今回観たGoatという作品は、シリアとレバノンの劇を集めた”Told from the Inside”というイベントの1つです。

台本を書いたのはLiwaa Yazjiさんというシリア出身の女性。劇作家・ドラマトゥルク・映画脚本家として、シリア内外で活躍されています。

作品はまだwork in progress(未完成な状態)ということで、俳優さんは全員台本を持ってリーディングに近い形で演じられました。

 

ストーリーの舞台は、内戦が続くシリアのとある町。戦いで死んでいった男たちの代わりにヤギが支給されることになった、という話です。

なぜ死んだのか、死ぬ前にどんな会話がされたのか、残された女性たちはどんな心境なのか。それぞれの会話・心情に焦点が当てられます。

 

紛争の描写も全て言葉だけ。メディアではショッキングな映像が流れ、視覚だけに偏ってしまいがちですが、こんなにシリア内部の話に「耳を傾けた」のは初めてでした。

でも「ヤギの支給」という一風変わった設定があるせいか、全体的なトーンは想像よりも明るかったです。

 

特に印象に残ったシーンを2つ紹介します。

1つ目は3人の青年たちの会話。

空爆と兵士から逃れ、建物に隠れているシーンです。

冗談を言いながらも携帯で家族へ最期のメッセージを録画しようとしたり、「死にたくない」と漏らしたり。

フィクションであってほしいですが、実際に起きているんだろうなと思うと胸が痛くなります。

 

2つ目は息子を亡くした女性の場面。

男性と2人で会話をしているのですが、彼女は言葉を話せない設定で、一言も喋りません。

顔はすごく何か言いたそう。なのに何も言わない。見ていてもどかしい!

でも紛争のさなか、声を上げたくても上げられない人がほとんどだと思います。

女性の声を何かで代弁しようとせず、あえて奪ってしまうというところが妙にリアルだと感じました。

 

そんな彼女がついに声を発するシーンが。

彼女の息子の一人が、「敵を殺してきた!」と興奮気味に帰宅したときのこと。

今まで一言も発しなかったのに、「出ていけ」と言います。

困惑気味の息子に対し、

「私は人を殺せなんて頼んでない」と。

 

声を失くした「弱者」だった彼女が、一番強く頼もしく見えました。

 

初めて見た、シリア人劇作家によるシリアを題材にした演劇。なかなか面白い作品でした。

いつかシリアの人たちが安心して祖国で演劇を楽しめる日が来ればと、願わずにはいられません。

 

 


シリア生まれの演劇:Goats” への2件のフィードバック

  1. A friend forwarded this link to me, thank you. I used google translation to read Japanease.
    Just to tell you something as well, most of the incidents are based on real stories!

    1. Oh my god, thank you for your comment! I really enjoyed the show at Royal Court. It should be performed in Japan too!

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