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ギリシャ悲劇モチーフの作品を5作品読み比べた


「この世にオリジナルは存在しない」

 

第2タームから始まったDramaturgyの授業の1発目で出てきた言葉です。

ギリシャ悲劇もシェイクスピアも、それぞれの元になった話があります。

「自分で作ったからオリジナル!」と言っても、何かしら拠り所になる文化だったり何かに影響されているはずで、全くゼロから生まれた話はありません。

 

では1つの話が違う劇作家の手にかかるとどんな感じになるのか?と、同じ題材を用いた5人の作品を初回の授業までに読んでくるように言われました。以下、「作者」「タイトル」「上演年度・国」です。

 

・Euripides, “Hippolytus”紀元前428年、ギリシャ。

・Seneca, “Phaedra”54年、ローマ。

・Jean Racine, “Phedre”…1677年、フランス。

・Sarah Kane, “Phaedra’s Love”1996年、イギリス。

・Charles L. Mee, “True Love”2001年、アメリカ。

 

テーセウスの妻パイドラーが義理の息子・ヒッポリュトスに恋をする→乳母がヒッポリュトスに、パイドラーの恋心をばらす→息子に拒絶されたパイドラーが息子を陥れる内容の遺書を残して自殺→それを見たテーセウスが激怒し、息子を殺す

 

という流れはだいたい同じです。

 

元はギリシャ神話から来ています。本当に誰が作ったのか、今となってはわかりません。

エウリピデスの作品は、神様が登場します。義理の息子に恋をしたのも、悲劇的な結末を迎えるのも、全てギリシャ神話の神々のいざこざが原因です。

セネカ以降はパイドラーが中心となり、神様は出てきません。だんだん彼女が自らの恋心、罪の意識に苦悩する様子に焦点が当てられるようになります。

サラ・ケインは28歳という若さで自殺したイギリス人劇作家。”Blasted”など、かなり暴力的・性的に過激な作品で知られています。”Phaedra’s Love”も「あぁサラ・ケインだ…」という感じでしたが、一番スラスラと読めました(笑)潔癖だったはずのヒッポリュトスが、サラ・ケイン版では現代の遊び人になり、パイドラーも罪の意識はどこへやら、開き直って肉体関係を迫ります。

“True Love”も舞台は現代へ。これも会話のテンポが良くて読みやすかったです。ジャン・ラシーヌ版はセリフが長かったせいか、あまり覚えていません(笑)

 

5作品それぞれ登場人物の捉え方、義理の息子への恋心の捉え方がこんなにも違うのかと驚きました。形は時代ごとに変わるものの、2000年以上劇の題材として伝わっているのは面白いですね。

 

ちなみに初回の授業では、上記5冊に加えてアリストテレスの「詩学」も事前課題の1つでした。私はせっせと読んでいきましたが、ギリシャ人のクラスメート2人は「今さら読まないよ」と。

なんで?と聞いてみると、「だって子供の頃から何回も読まされたもん」「もうアリストテレスは身体にしみついてるよねー」とのことです…。

 

さすがです。

 


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