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ショーの幕開け

先日、ウェストエンドでのショーの初日を迎えました。

前日の夜まで小道具作りが終わらず、夜中まで必死で作業…

前職で培った名札作りの技術を生かし、ロンドン警察やBBCのIDをパソコンで作成。

ただwordでロゴやら顔写真やら切り貼りして、印刷したものをラミネート加工しただけなのですが、

“Amazing!” “Fantastic!”と

こちらが恐縮するくらい喜ばれました。

こんなところで役立つとは(笑)

 

本番当日は朝からセットや衣装の準備を手伝いに行きました。

こんな状態で間に合うのか!?という不安はあったものの、なんとかオープン。

第1週目は大きな混乱もなく終わりました。

 

初日はバックステージで走り回っていました。が、今後はキャストとしての参加がメインになりそうです。

ちょっと変わったショーなので、大きい舞台でパフォーマンス!というものではないのですが、衣装を着て人前で演技をするというのは楽しいです。

 

2回目のショー本番前のブリーフィングで、お客さまからのコメントが読み上げられました。

その中に作品の内容に関連して、「今まで特に気にしていなかったけど、移民問題について真剣に考えようと思った」というものがありました。

書いてくださった方がこれから何か行動に移すのか、そうでないのかはわかりません。別に何かしろ!というわけではありませんが、自分たちのショーが世の中を少しでも良くするきっかけになったら嬉しいなと思います。

 

また、いろんな人がボランティアで参加しているので、思わぬ出会いがあって面白いです。

一緒に衣装の準備をしたJさんは、4人の息子さんがいる衣装デザイナー。

たまたま彼女のために入り口のドアを開けてあげたことがきっかけで仲良くなり、アシスタントにしてもらいました(笑)

毎日メールのやり取りをしたり、息子さんたちとも一緒にランチに行ったり、まるでホストファミリーのような感覚です。

 

そしてイギリス人の中で働いていると、紅茶の消費量に驚かされます。

仕事に取り掛かる前に

“Would you like a cup of tea?”

と聞かれ、

 

しばらくすると

“Let’s have a cup of tea”

と声をかけられ、

 

ちょっと長く働いていると

“You should have a cup of tea!”

と言われます。

 

大勢で作業をしてたら誰かが紅茶とビスケットを運んできてくれるので、おかげで紅茶中毒になりました。

ちなみに標準的な飲み方は、ティーバッグ(アールグレイが多いかな?)に瞬間湯沸かし器で沸かしたお湯を注ぎ、ミルクを入れるというもの。

めっちゃ普通!!

紅茶の淹れ方や茶葉にはそんなにこだわらないようですが、お茶を飲む時間を確保するということにはシビアです。

リハーサルで忙しかった日の夜、「お茶も飲めないなんておかしい!一杯飲んでから帰る!」と怒っていた人がいたことには驚きました。私はお茶を飲む時間があれば早く帰りたい派なので…。

 

そんなイギリス文化を知る良い機会にもなりました。

ショーはあと2ヶ月続くので、これからが楽しみです。

 

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ただ生き続ける:Uncle Venya

現在関わっている2つのショーの本番が近づいてきました。

同じ日に両方のリハーサルがあったりして、ロンドンの街中を行ったり来たり。

おかげさまで忙しくしております。

 

とはいえゆっくり演劇も観たい!ということで。

 

約3時間ある、チェーホフの作品を観てきました。

 

劇場は私が渡英して最初に行った、Almeida Theatre(アルメイダ)。

ベン・ウィショーがBakkhaiというギリシャ悲劇で主演していたからです。

昨年はAlmeida Greekということで古代ギリシャの作品をずっと上演していましたが、年末からイプセン・チェーホフと近代に移りました。

そういえばロンドンに来てから、アルメイダの作品は全てチェックしています。ここの作品はタイトルだけ見ると難しそうな気がしますが、とてもわかりやすく面白く作られています。

 

Uncle Venyaの邦題は「ワーニャ伯父さん」。

アルメイダ版ではタイトルはそのまま、作中では主人公が”Uncle John”とイギリス風の名前に変わっていました。

 

私は日本語でも英語でも原作を読んだことがありませんが、これは舞台で観るから面白いんだと思います。

登場人物がたくさん出てくるので、本で読んで理解できる気がしません(笑)

 

あらすじは簡単に言うと、田舎に住む人たちが都会から来た教授夫妻に振り回される話。

銃が出てきても誰も死なないし、プチ失恋はあっても泥沼の恋はなし。そこの住人でなければさほど大事件ではない出来事の連続なのですが、キャラクターの内面の描写が細やかです。

 

主人公ジョンが自分の人生に絶望したとき、教授の娘・ソーニャが”We just keep living.” と諭します。一時は自殺しようとしたジョンですが、ラストシーンでは日々の仕事に戻ります。

 

この「ただ生き続ける」ということ。当たり前すぎてそこに価値を見出すのはなかなか難しい。

 

留学中の「何かしないといけない」というプレッシャーは、多くの人が持っているのではないでしょうか。

私も学生ビザが1年4ヶ月しかなく、ビザの2年延長を目論んでひそかに応募していたイギリスYMSビザ(ワーホリみたいなもの)の抽選にもあっさり外れ、今のうちに意味のあることをしないといけないんじゃないかと焦りまくりました。

日々淡々と生きる、特に何もせずに過ごすというのが苦手です。飽き性なのもあるかもしれませんが、1つのことだけに集中するのも苦手。仕事・学業・習い事と3種類くらいあって初めて、エネルギーが上手く循環しているような気がします。

 

ジョンが今までもそしてこれからも田舎で農場経営の仕事をし続けるという選択をした時。私だったらその生き方は選ばないけれど、こういう生き方も素敵だなと思いました。劇中で何かを成し遂げたわけでもなく、これからも多分そのまんま。でも生き続けること自体に価値がある、むしろ価値の有る無しは別にして、とにかく生き続けること・・・

 

「何かをしないといけない」プレッシャーを感じている人、お疲れ気味の人に見てもらいたい作品です。

 

 

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ロンドンの演劇プロデューサーからアドバイス

先日、大学の演劇サークル主催・ロンドンの演劇プロデューサーによるトークイベントに行ってきました。

テーマは「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」。毎年8月にスコットランド・エディンバラで行われる演劇やパフォーマンスの祭典です。そこで自分の劇を上演したい!という大学生に向けて、毎年ロンドンから沢山の劇を送り出しているプロデューサーがアドバイスをするというもの。

私は特に自分の作品を持っていませんが、面白そうなので参加してみました。

 

最初にプロデューサーの自己紹介があり、その後はQ&A形式。会場や予算のことなど、非常に具体的な内容を聞くことができました。

せっかくなのでシェアします。

 

商業演劇・学生演劇ともに一番苦労するのがお金。

なかなかチケットだけでは賄えないのが現状です。

特にロンドンは土地代も物価も高いし。

 

そのプロデューサーの方は、オフィスも車もライバルとシェアすることでお金を浮かせているとのこと。

 

クラウドファンディングでは微々たるお金しか集まらないので、支援してくれそうな人をgoogle検索して片っ端からメールをしているのだとか。

 

広告は大手メディアを狙わず、ソーシャルメディアを使うこと。新聞で星2つとかでも、口コミでの評判が上々というのはよくあります。

 

パブに行くときは必ず自分の作品のフライヤーを持っていくこと。どこに支援者がいるかわからないから。

 

なぜ自分の作品は価値があるのか、なぜ一番だと思うのか、きちんと説明できるようにしておくこと。なんでコメディ?なんでギリシャ悲劇?(そういえばWhy now? Who cares?と大学院の授業でも演劇の意義をすごく問い詰められた…)

 

フライヤーやソーシャルメディアで使う写真にはこだわること。特にエディンバラ・フリンジは世界中からアート作品のようなフライヤーが集まるので、絶対にいい写真を!と念押ししていました。間違っても仲間内だけで「いぇ~い♪」なんて盛り上がっているような写真は使うなと。

 

ターゲット層・ライバルを知ること。マーケティングは非常に重要。

 

資金集めは舞台芸術に関わる者の宿命だと言っていましたが、その通りですね。

 

最後にロンドンで私が見た、有名人による資金集めのエピソードをご紹介。

 

1人は振付家、マシュー・ボーン。昨年亡くなったダンサーの追悼イベントだったのですが、「今夜のチケットで〇〇ポンド集まった。でももうちょっと集めたい」と言って、その場で寄付を募っていました。普通は公演中にスマートフォンの使用は禁止するものですが、「今すぐ携帯をカバンから取り出して、ここに空メールを送ってほしい」と呼びかけました。集まったお金は、亡くなったダンサーの小さな息子さんたちに届けられるそうです。

 

もう1人は俳優、ベネディクト・カンバーバッチ。ハムレットの公演終了後、「少し話を聞いてほしい」と舞台上で難民支援のための募金を呼びかけました。その時は会場スタッフが持つバケツにお金を入れるというものだったのですが、ほとんどの人が寄付をしていたように思います。

おそらく彼の収入ではそんなことをしなくてもポンっと出せるお金はあるのでしょうが、たくさんの人を巻き込むということに意義があったのでしょう。

 

今回の約1時間のイベント、作品の中身についてのアドバイスは全くありませんでした。

「資金を集めていかに上演までこぎつけるか」「どうやって人に知ってもらうか」という話は授業では聞けないので、とても参考になりました。

厳しい世界ですが、それでも良い作品を世の中に出していきたいものです。

 

 

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「帰りたくなる」パフォーマンス:Fox Symphony

タイトルは決して悪い意味ではありません。

思わず日本に帰りたくなるパフォーマンスを観ました。

一緒に観に行ったギリシャ人・フランス人のクラスメートも、見終わったあと

 

「ホームシックになった!帰りたい!」

 

って。

 

みんなLCCとか電車ですぐ帰れるからいいやん。

 

日本まで何時間かかると思ってるんだ(笑)

 

今日のパフォーマンスはFoxという名のとおり、キツネをモチーフにしたもの。

キツネのメイクを施した女性アーティストのソロパフォーマンスだったのですが、映像や口パクを駆使して1人何役もこなしていました。

たとえばバンドのボーカル役の時は、ドラムやベースは事前に撮った自分の映像を後ろに流すとか。

 

テーマはイギリス人のアイデンティティー。

「典型的なイギリス人たち」を言葉や動作、音楽、食を通じて表現するのですが、出身地・階級によってアイデンティティーが細かく分かれれています。

スコティッシュ、アイリッシュ、中流階級、労働者階級…

英語の発音、大事にしている記念日、結婚相手、食べ物。生まれ育った土地や階級はこんなに影響力を持つのかと思い知らされました。

そういえばスコットランド出身のクラスメートはロンドンに住んで4年目ですが、自己紹介の際には必ず”I’m Scottish”と言います。Britishはまだ許せても、Englishと言われると「ちがーう!」って思うそうです。

 

さて、パフォーマンスに戻ります。

 

口パクとコミカルな動きで、会場は終始笑いに包まれていました。1か所だけ彼女自身の声を撮ったと思われる映像が流れ、そこだけちょっとしんみり。

ロンドンはmulti cultural cityと言われますが、いろんな人たちがいろんな理由で集まっています。

長く住んでいても祖国が忘れられず、「ここは自分の居場所じゃない」と思っている人。あるいは祖国が嫌で思い出したくもない人。

 

映像の中で印象に残った部分がありました。

 

「子供の頃から自分のアイデンティティーに悩んでた。おじいちゃん・おばあちゃんがすぐ近くに住んでるとか、親子3世代で同居しているクラスメートが羨ましかった。きっと自分がどこに属しているのかなんて、考えたこともないだろうから」

 

このあと、都会でひとりぼっちのキツネの映像が流れます。

山から下りてきてしまったキツネ。

ゴミを漁って食べるキツネ。

あてもなく彷徨う、1匹のキツネ。

 

家族はどこにいるの?

1人でそんなもの食べて生きてるの?

ここはいるべき所ではない。

 

このキツネの映像で、多分みんな帰りたくなったと思います。

言葉を発しなくても、感情を出さなくても、動物の映像のインパクトは強烈ですね。はっきりしないからこそ余計に自分と重ねてみたり、深読みしたり、いろいろ考えてしまうのでしょうか。

 

今まで「アイデンティティー模索系」パフォーマンスはいくつか見ましたが、今日のパフォーマンスほど「観客自身のアイデンティティー」を考えさせるものはありませんでした。逆にキツネのメイクをしたアーティストが何者なのかは、わからずじまい。

面白い体験でした。

 

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イギリス大学院・成績の謎

バレンタインの週末は、仕事とパブで過ごしました。

時期的に「バレンタインパーティー」という名前がついていたものの、特にバレンタインらしいことはしていません。金曜はアメリカから来たアラサー留学生たちと飲み、土曜は職場のみんなで飲み、11時には帰宅。

クラスメートとは「日曜にアンチ・バレンタインパーティーをしよう」という話が一瞬出たものの、予想通り流れました。9人しかおらず仲の良いコースではありますが、みんなで集まるのは苦手なようです(笑)

スーパーや花屋さんはバレンタイン特設コーナーを設けているものの、日本ほど盛り上がってはいません。ヨーロッパの他の国から来た友人に聞いても「何もしないよ!」とのこと。日本の百貨店のバレンタイン特設コーナーが恋しいです。

 

そんな地味なバレンタインの直前、第1タームの成績が出ました。

 

成績というかエッセイ2本のフィードバックです。

 

結論からいうと、至って普通の成績でした(笑)

 

両方ともB。

 

イギリスの成績評価は非常に厳しく、Bならまだいい方、Aはまず取れないとのこと。一番上のA+のエッセイは出版できるレベルだとか。

私が日本で通っていた大学ではS・A・B・C…という評価方法で、大好きだったアメリカ演劇や文学はだいたいS、悪くてもAでした。(苦手な音声学とか言語学はひどかった…)

なのでBという評価を見たとき、結構ショックでした。

 

ところがクラスメートもみんなBだったそうで、意外と普通やったんか!とちょっと安心。

 

でもイギリスの厳しいところは、成績はエッセイもしくは試験の一発勝負ということ。

普段の授業態度や出欠回数は全く考慮されません。

しかもエッセイは無記名で提出。基本的には先生と他のexaminerの2名、時には外部のexaminerも見るそうです。なのでどれだけ授業に貢献しようが先生と仲良くなろうが、全く関係ありません。

現にクラスで一番発言していたイギリス人の学生は、Cの評価をもらったそうです。

 

さて、Bの内訳ですが…

エッセイはいいところも悪いところも細かくコメントが書かれています。

webを通じての提出・返却なので、エッセイの所々に吹き出しがついていてクリックするとコメントが見られるというもの。

「ここはもう少し論拠が必要」といった中身のことから、「単語のチョイスがおかしい」「theが抜けてる」など文法的なことまで指摘されていました。時間がなさすぎてネイティブチェックを受けずに出した結果、やはり英語のミスがありました。他の留学生組もみんな英語のミスがあったようですが、最終的な評価は中身重視だったようです。

 

いつもながら、もっと早く書き始めたら良かったと思っています。

どこまで資料を読んで、いつ書き始めたらいいのかはすごく迷うところ。リサーチばっかりでギリギリまで書かなかった結果、最後は3日間徹夜・夕食抜きという非常によろしくない生活を強いられました。

 

次は3月上旬に1本と5月に3本あるので、今度こそ健康的に書きたいです…。

 

 

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コミュニティー・シアターでのボランティア

昨日から近所のコミュニティー・シアターでAssistant Stage Managerのボランティアを始めました。

3月上旬のショーに向けて、現在リハーサル中です。

テーマは”After Hiroshima”。なんと日本とのコラボレーション企画です。

原爆が投下された後の広島、そしてイギリスでの反応。

演劇以外にも展示やワークショップなどさまざまなイベントをやっていたそうで、もっと前から知りたかった!というのが正直なところですが、なんとかショーに間に合って良かったです。

 

最初にディレクターと話をしたとき、「これが脚本用の資料」と見せていただいたのが、日本で行われたという膨大なインタビュー。

詳しい中身は見ていませんが、非常に丁寧なリサーチに基づいて作られているようで、日本人の私としてはとても嬉しく思いました。

大学院のdramaturgyの最初の授業で教わったのが、「たとえショー本番で観客の目に直接見えないとしても、制作側・演者としてリサーチは必ずしなければならない」ということ。

たしかに脚本にインタビューの中身が100%引用されているわけではありませんが、想像で作られたものとリサーチに基づいて作られたものは、明らかに違う仕上がりになるのではないでしょうか。

 

リハーサルでの仕事は、ディレクターの指示を聞いて俳優の動きを脚本に書き残していくこと。

どのセリフがきっかけで誰が動き出す、小道具の扱いなど、非常に細かい指示が出されます。

昨日はまだAct1しか見ていませんが、なるべく多く参加して全体の動きを頭に叩き込もうと思います。

 

ひたすら指示と動きを観察して書き残す、地味な作業ではあるのですが

 

なぜかめちゃくちゃ楽しい!!!時間を忘れる!!!

 

最初はあたふたしていた俳優さんたちが指示通りに動けるようになるのを見ると、これがまた爽快。

「よし!できた!」と心の中で何度も叫びました。

見ていると演じる側にまわりたくなるんじゃないかと思っていましたが、昨日はそんなことはありませんでした(笑)

 

昨日はもう一つ、「わんちゃんの面倒を見る」という仕事をいただき(笑)

リハーサル中は私の足元でおとなしく寝ていてもらいました。

めちゃくちゃかわいかったです。

 

もう一つのボランティアでもショードッグを扱う担当になったので、猫派の私にとっては新鮮です。

そちらでは明日わんちゃんのオーディションがあるので、何十匹という犬がウェストエンドの某会場に集まります。

どうなるんでしょう…

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Stage Management

明日からもう一つボランティアをします!

近くのコミュニティーシアターで、Assistant Stage Managerをすることになりました。

つい一週間前まで「このまま勉強しかせずに日本に帰ることになったらどうしよう…」と焦っていたのですが、たまたまwebで見つけて「手伝わせてもらえないか」と担当者にメールしたら、採用してもらえることに。

 

アシスタントとはいえ、Stage Managementの経験は全くないので大丈夫か?と少々不安です。

そこでイメージトレーニングのため、You Tubeで”Stage Manager”と検索(笑)

National Theatreをはじめ、いろいろと出てきました。
Stage Managerは俳優の動きやライト・音響の動きなどを全て把握し、時間通り間違いなく進行させる非常に大事なポジションです。

客席の後ろではこんなことをやっていたのか!と、動画を見てびっくり。

非常に緊張を強いられる仕事に、ますます不安が募りました。

 

ところがラッキーなことに、この前から始めたボランティアで今日、Stage Managementのトレーニングを受けられることに!

今日は午前中に2時間キャスティング関連の仕事をし、午後から2時間×2コマの修士論文ワークショップを受け、その後3時間半Stage Managementのトレーニングという怒涛の一日でした。

大学がウェストエンドの端に位置するので、夕方の劇場街を通り抜けてボランティアに行くのはワクワクします。

 

トレーニングは時間を計りながらトランシーバーでやり取りして…の繰り返しだったのでした。

最初は専門用語と機械の使い方がわからないのと、時間のプレッシャーでパニックに。何度も手順と単語の意味を確認し、最後には何とか動けるようになりました。

よく使う例文と単語をメモしてきたので、スラスラ言えるように練習します…。

 

それにしてもみんな本当によく働くなぁーと感心します。

朝は8時半からミーティング、夜も11時前後まで残っているようです。

好きな仕事をしているからでしょうか。

忙しくてもすごく丁寧に教えてくれるし、ちょっと何かしたら”Thank you Maiko!”って必ず誰かが声をかけてくれて。

大学院生なので同じような働き方はできませんが、彼らが気持ちよく働けるように雑用は進んでしようと思っています。

(昨日も牛乳やら食洗器用のタブレットを買いに行ったり…笑)

 

そういえば今日のトレーニングの差し入れが、紅茶とビスケットでした。

さすがイギリスです。

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修士論文とBallet Dramaturgy

修士論文のスーパーバイザーが発表されました。
うちのコースはは生徒9人に対し先生が4人。数としてはかなり恵まれていると思います。
ということで無事、希望の先生につくことができました。

研究内容が演劇・パフォーマンスアート・ダンスを軸にしながら哲学・ジェンダー・人類学など幅広いので、正直何をテーマにすればいいのか迷いました。

半年間向き合っても飽きないテーマ。(←これ重要!)
PhDに進む予定はないので、多分何を書いても就職には関係ない。
とことん好きなことに向き合おう!と考えた結果…

Ballet Dramaturgyにたどり着きました。
厳密に言うとReworking of Balletということで、古典作品のアレンジをテーマにします。
たまたま先生が元ダンサーでバレエにも非常に詳しく、今は大学の研究とdramaturgをしているとのこと。
「スーパーバイザー頼むならこの先生しかいない!」と思っていました。
オフィスアワーに足繁く通った甲斐があった(笑)

ちょっとマニアックな話になります。バレエに興味のある方はお付き合いください。

修士論文の前提にしているのが、

「振付家や演出家が作品をどう解釈するか(物語のどの部分を強調するか、どの振付家の影響を受けたかなど)は、その人の育った国や受けてきたトレーニング、社会的背景に影響されているはず!」

ということ。

私がバレエを頑張っていた頃はテクニックに必死で、正直考えたこともありませんでした。
特に発表会やコンクールでバリエーションを1曲だけ踊るとき。
なぜこの動きをするのか、周りには誰がいてどんなセットがあって、どのような哲学・思想が含まれているのかなんて、特に気にせず踊っていました。

個人的には、そこまで想像できる人の踊りが観たいなぁと思っています。
振付家や作曲家は時代の中でさまざまな苦労をしながら作品を作り、今に伝わっているわけです。たとえ目に見える動きに現れなくても、そこまで思いを馳せることのできるダンサーがいたら素晴らしいですよね。

ただ現実問題、舞台やレッスンで忙しい中で広範囲にわたるリサーチはなかなか大変。そこでアカデミック担当、ドラマトゥルクの出番!
わかりやすく資料にまとめて、役作り・作品作りのお手伝いをしますよ、ということです。
今はdramaturgyの授業で、アリストテレスやらニーチェなど、哲学を徹底的に学んでいます。いつバレエにたどり着くのでしょうか…。

今週はベンヤミン。事前課題の中にThe Arcade Projectという1000ページを超える本が含まれており、途方に暮れていました。

すると先生から”Note on Reading Arcade Project”というword文書が!もしかして予習範囲が減ったり?

ファイルを開けるとそこには、

 

“Enjoy.”

 

と書かれていました。

 

この先生が、私のスーパーバイザーです。

 

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斬新なエンディング:Free Admission

作品を「どう終えるか」は、制作者にとって悩ましい部分だと思います。

 

時にはお客さんにとっても。

拍手をするべきか、それともまだパフォーマンスが続くのか?

観客全体が判断に悩み、しばらく微妙な空気が流れるような場面に居合わせたことがあります。

 

それはさておき。

今日も夜の遠足的な感じで、大学院の先生と学生の計5人でSOHO Theatreに行ってきました。

先日、土と牛乳の被害に遭ったパフォーマンスに連れて行ってくれた、とても可愛らしい先生です。(授業も素晴らしいです)

 

今回パフォーマンスをしたのはUrsula Martinez(ユーソラ・マルティネス?)という女性アーティストで、オリヴィエ賞を獲ったこともあるとか。

先生が「前に観に行って、面白かったの!」と言っていたのですが、この先生が面白いというからには何かあるんだろうなぁという気がしていました。

案の定、会場前にAge recommendation: 16+ (contains nudity)と注意書きが。

「もう慣れたよね」と言いながら会場入り。ロンドンで全く脱がないパフォーマンスアーティストがいたら教えてほしいものです。

 

舞台上にはステージをかたどったセットが置かれていました。

大きな壁の真ん中に上半身が出るような横長の空間があり、そこに劇場にあるような赤いカーテンが取り付けてあります。

 

「パフォーマンスの始めと終わりは悩むよね」と言いながら、前説のように話し出すユーソラ。

最前列に座っていた女性に、「あとで一緒にセルフィー(自撮り)撮ってくれる?」とスマートフォンを手渡しました。

その後セットの後ろにまわり、いろんな小話をしながら土とブロックで長方形の空間を埋め始めます。

話の内容は高校生の頃の流行語から家族の話、フェミニズム、親戚の戦争体験など。

動作としてはただブロックで空間を埋めるだけでしたが、日本人でいうと友近のような話しぶりで面白かったです。

 

その後完全に空間が埋められ、姿が見えなくなりました。

するとブロック塀がスクリーンになり、セットの裏に隠れたユーソラの姿がカメラを通じて映されました。

おもむろに脱ぎだすユーソラ。

 

“I’m ready!”と言いながら、ロッキーのテーマと共に全裸でステージに登場!

最前列の女の子と約束通りセルフィーを撮っていました。

その様子を女性スタッフが引き続きビデオカメラで撮影。

 

そしてセット裏に衣装を置いたまま、ステージを去りました。

 

しかしここで終わらない。

 

彼女のあとを女性カメラマンが追いかけ、カメラで捉えた映像がブロック塀に映されます。

2階にある会場を出て階段を下り、そのまま外につながるドアへ。

 

ドアは開けっぱなし。

 

劇場と外側の境目に、全裸で立ちました。

 

盛り上がる観客。

 

驚く通行人。

 

びっくりしてドアの内側をのぞきこんだおじさんが一瞬映り、笑いが起きたところで終了しました。

 

あの終わり方は、今まで見たことなかったなぁー…

 

以前パフォーマンス制作の授業中に、「パフォーマンスをどう終えるべきか?」というテーマで話し合ったことがありましたが、

 

「全裸で劇場を飛び出す」という意見は出てきませんでした。

 

もっとクリエイティブになりたい。

 

 

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ウェストエンド進出

学内で上演される劇のオーディションにことごとく落ち、

お湯と暖房が3週連続で止まり、

ブログが消え、

心の支えだった友人が帰国し、

予習の量が週に1000ページを超え出し、

ちょっと疲れ気味のところに思わぬチャンスが舞い込んできました。

 

まさかのウェストエンド進出!!

 

あるショーの制作チーム兼パフォーマーとして、昨日からボランティアを始めました。

2月末~4月末までの2ヶ月間、チケットは全てsold outだそうです。

 

しばらく24時間営業の図書館に入り浸る生活をしていたのですが、クラスメートの紹介でやっと外に出ることになりました。

紹介してくれたEちゃんは演出家志望のギリシャ人。

クラスで唯一前期も後期も私とまったく同じ授業を取り、ベン・ウィショーの舞台やマシュー・ボーン作品も一緒に観に行きました。

一週間前、学校帰りに2人でNational Theatreのカフェで「ボランティアでいいから何かしたい!」と話していたんです。

まさかこんなに早く見つかるとは。

 

ネットで劇場のインターンを探しても「週に30時間以上」とか「24歳以下」など制限があったり

(学生ビザ保持者が就労できるのは週に20時間まで)

ボランティアもものすごい競争率らしいのですが、

やはり最初は人からの紹介が一番強いと感じました。

 

さらに私のビザはエンターテイナーとして働くことを禁じているので、

パフォーマンスをしたければ必然的にボランティアとなります。

ちなみに紹介してくれた友人EちゃんはEU圏出身なので、ビザは不要とのこと。

うらやましい!

 

守秘義務があるのでショーの詳細は書けませんが、

4月末まで精いっぱい頑張ります。

 

ボランティアに行って、まだまだ英語力が低いことを痛感…。

例えば電話応対。

社会人になりたての頃は、日本語でも苦手でした。

ともかく慣れが大切だと思っていると…

いいタイミングでまたお湯と暖房が止まりました。

おかげで昨日から管理者に電話しまくっています。